とあるバイク乗りの日常

忙しく過ごした
仕事での平日
それなりのポジションに就き
充実した日々を想像していたが‥
現実は、
事情も分からない上司からは
無理難題な案件をまわされ
責任感なんて物は持ち合わせて無い部下からは
下らない不平不満を言われる
いわゆる
うだつの上がらない中間管理職ってやつだ
それでも何とか
難しい案件に目鼻立ちをつけ
週末の休日を迎えた
午前中、寝床から起きて来ると
既に、家人達の姿は無く
どこかに出掛けた様だ
話しを聞いていたと思うのだが‥
詳しい内容は忘れてしまった
と言うよりも
話しに興味がなかった為
話し半分で聞いていたと言うのが
正しかろう
要するに、今日出掛けると言う事だ
朝食の残りのパンをかじり
コーヒーメーカーに残っていた
コーヒーをカップに注ぎ
ガレージへと向かう
ガレージと言っても
バイク一台とちょっとした工具が置ける程度の
小さなコンテナだ
天気も良さそうだ
コンテナのシャッターを開け
鎮座する鉄の塊を眺める
かじっていたパンをコーヒーで流し込み
その鉄の塊をアスファルトへと
導く
先日、洗車したその塊
バイクは、午前の陽光を浴びて
キラリと輝く
「ちょっと待ってろよ」
バイクに話しかけ
家の中へと踵を返す
鈍く光る革ジャケット
使い込まれたヴィンテージヘルメット
バイクに跨がり
ガソリンコックを開ける
イグニッションキーを回す
ランプが点灯し目覚める
セルのボタンを押し込む
エンジンが咆哮する
確か家人達が帰って来るのは
夕方くらいだったはず
それまで、二人で
さぁ、
どこへ行こうか!